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小説
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あー…、やっとバイト終わった。


マジで疲れた、すんげぇ疲れた~。
早くメシ食って風呂入って寝てぇ~。
そんなカンジにヘトヘトのクタクタになりつつ帰り着いたのは、宇宙人いわくの愛の巣っ。
しかも、マンションの入り口ですれ違った管理人さんに、

「あ、久保田さんの奥さん、こんばんは」

とか、すんげぇナチュラルに言われたけどっっ、
愛の巣とか夫婦とか俺は認めねぇっ、断じて認めねぇっ!!
つか、いつの間にアイツの脳内だけじゃなくて、
世間的に夫婦になってんだっっ!!
オトコ同士だとかっ、世間の荒波とか冷たい風はドコへ行ったんだぁぁっ!

「あ、久保田の奥さん。これ貰いものですけど、たくさんあって食べきれないので良かったら…」


もらっちまったウマそうなリンゴの赤が目に染みるぅぅっ。
チクショウっっ、世間のあったかさに思わず涙が出ちまいそうっ。
だーけーどっ、俺は奥さんじゃなーーいっ!!!!
いくら世間があったかくても、視線が生あたたかくともっ、
コレだけは断固否定するっ!!!!

たとえ世間や区役所が認めても、俺は認めねぇぇっ!!

なんて思いつつも、俺に子供を産ませたいヘンタイ宇宙人と、
晩飯のカレーが待ってる部屋のドアを開け、リンゴの入った袋を片手に、
限りなくナチュラルに、ただいまーと部屋に入る。
ホントにすっげナチュラルすぎて、もはやツッコミを入れる気力すらねぇしっ。
激しく頭を抱えたい気分になりながら、いつものようにリビングに向かう。
そしたら、ソコにはソファーに座って新聞を読んでる宇宙人…じゃなくて、
「やぁ、おかえり」
なんて言う、ゴキブリがいたぁぁぁぁっ!!!!!

「顔を見るなり、ゴキブリとはご挨拶だね、時任君」
「なんで、俺の名前知ってっていうかっ、ヒトの思考を読んでんじゃねぇよっ!」
「私の名前は、真田だ」
「聞いてねぇしっ!!!!!」

ココに最初に来た日、真昼の星になったはずの黒スーツっ。
なんっっで、コイツがココにいるっていうか、
ベランダの窓が思いっきり割れてるしっ!!

「ベランダから来たってコトは、てめぇも宇宙人だなっ!!」

ベランダから来たアヤシイ奴とかヘンタイは、もれなく宇宙人。
そんなのが、ジョーシキになりつつある俺の日常っ。
なんでだっ、なんでなんだっ!!
なんで、宇宙人は地球でも日本でもなくて、俺に侵略して来るんだぁぁっ!
つか、とりあえずベランダに着陸すんのはやめろっ!!!
ココはNASAじゃねーっ!!!
けど、そんな非現実的な日常に悩み叫ぶ俺に向かって、マジメな顔をした真田は、
不気味な笑みを浮かべて自分の正体を明かした。

「君は何か勘違いしているようだが、私は宇宙人ではない…、元カノだ」

 

・・・・・・・は?
い、今、なんかすんげー幻聴が聞こえた気ぃすんだけど?
っていうか、目の前にいらっしゃる黒スーツは、
どう見ても男で、オトコでオトコ…、だよな!?
コレがオンナだったら、なんのイリュージョンだってくらいっ、
オトコで、オールバックのアヤシイおっさんにしか見えねぇしっ!


「何だったら、確認してみるかね?」
「とか言いつつ、脱ぐなぁぁぁぁっ!」
「私は脱ぐとスゴイのだが…」
「スゴイって、何がスゴイんだよっ!!」
「同棲してるからって、良い気にならない事だ」
「同棲じゃねぇっっ、同居だっ、同居!!」
「・・・・・まさか、もう子供が」
「デキてねぇよ…っていうか、デキるかぁぁぁっ!!!!」

俺は男だっ、コンチクショウっ!!!!!

話してるのは日本語なのに、ぜんっぜん言葉通じねぇしっ、
やっぱコイツも宇宙人だっ!
しかもっ、元カレじゃなくて、元カノっ!
そんな宇宙人真田と宇宙人久保田が…とか想像したら、
なんか、いきなり視界がブラックアウトしそうになった。

「ちなみに彼との初キスは、車の中だった」
「誰もそんな甘酸っぱい思い出なんか聞いてねぇよっっ!!!!」


言葉が通じない元カノ宇宙人は、なぜかいきなり甘酸っぱい思い出を語りはじめるしっ、
うあぁぁぁぁっ、もうどうすりゃいんだっ!
オーマイガーッ!!!!
殺虫剤を噴射したい気分になりながら、新たな宇宙人の侵略に頭を抱える。
そしたら、正義の味方…じゃなくて、どこかに行ってた宇宙人がのほほんと帰ってきた。

「アレ、そのリンゴどうしたの?」
「…って、目の前のこの状況は思いっきりムシかよっ!!」
「この状況って?」
「ほらっ、コレっ、お前の元カノ!」
「モトカノ?・・・あ、ゴキブリ」


バキュンッ、バキュンッ、バキューーーンッ!!!!!


ぎゃあぁぁぁっ、何か目の前で元カノがっ、黒スーツがっっ!
物凄い音とともにキラリと真昼じゃなくて、
夜空の星にぃぃ…っ!!!

「うーん、今日はいつもより、星が綺麗だぁねぇ」
「って、アレって元カノ!?」
「モトカノ?そんなの居たっけ?」
「さっき居ただろっ!初キスは車の中とか、なんとか言ってたしっ!」
「初キス? ソレなら車じゃなくて、二人の愛が激しすぎて床が抜けた部屋でだったよねぇ。
ちゅってしたら、お前は真っ赤になっちゃって…」
「って、俺らのコトじゃねぇっていうか、過去を勝手に思いっきりねつ造すんじゃねぇぇっ!!」

そんなこんなで黒スーツは星になり、事実は天の川の中っ。
果たして、黒スーツは本当に元カノなのかなんなのかっ?!
謎が謎を呼びっ、風雲急を告げるのか告げないのかっ、
宇宙人に侵略されていく、俺の日常っ!
さりげなく、尻を撫でようとするエロ星人に、
世間の生あったかさに、俺は勝つコトができるのかっ!?

「ねぇ、そろそろ俺の子供・・・」
「産めるかぁぁ…っていうか、俺はオトコだぁぁぁっ!!!」
 

このお話は、俺こと時任稔が宇宙人侵略から地球じゃなくて、
テイソーを守る宇宙規模で壮大な物語である。


・・・・・つづく?


 

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今日は、ホワイトデー…。

それは知ってる、確かに知ってる。
そんでもって、先月はバレンタインデーがあったのも、
ちゃーんと知ってるっていうか…、忘れられねぇぇっ!!!
あの日は、今までの中で一番っ!

・・・・・・宇宙人って怖ぇえぇぇっ!!!!

…って、思った日だった!
だってさ、いくらバレンタインでもアレはねぇだろっ!
つか、白いフリルエプロンを見た時点で気付くべきだったっ!!
今、思えば最初っから、ものすんごく怪しかったしっ!
だから、今日、俺はチョコカレー…じゃなくて、
目の前のホワイトシチューを睨みつけながら、
もう、十分近くも固まっていた。

「・・・・・あ、あのさ」
「ん?」
「コレって、ホワイトチョコ入り…とかじゃねぇよな?」
「うん」
「ホントに?」
「うん」
「ホントにホントに、マジで?」
「うん」
「し、白いミルクチョコとかも入ってないよな?」
「入ってないけど、なんで?」

「な、なんでって、そりゃあ・・・・・」

今日がホワイトデーだからに、決まってんだろっ!!!!!
とか思ったけど、ぜぇぇったいに言わねぇっ!!!
だって、義理とかでも返したら、なんか床の強度とかっ、
ベッドの強度とかっっ、そーいうの確かめるコトになりそうじゃんかっ!!
そ・れ・にっ!アレはカレーであってチョコではないっ!!
チョコではないが、カレーでもないっ!!!
四日食っても、断じて認めねぇっ!!!!
ついでに言うと、俺は何かを頑張ろうとする宇宙人久保田の侵略から、
四日間、無事に・・・・を守り切ったっ!!!

『う、宇宙人のクセにっ、ナニを侵略しようとしてんだよっ!!フツー侵略するなら、
ノーマルに地球とかだろっ!!!』
『いんや、俺がしたいのは侵略じゃなくて…、人間のカラダの神秘ってヤツを知りたくて、ね』
『うげっ、なんだ神秘ってっ!つーかっ、てめぇはどこもかしこも人間と同じだろっ!』
『さぁ? それはわからないし、全部同じとは限らないっしょ?』
『・・・・へ?』
『まだ、見たコトのない場所…、あるし…』
『・・・・・・ソレってまさか』
『夫婦なんだから、遠慮しないで』
『…って、遠慮するに決まってんだろってか、俺ら夫婦じゃねぇしっ!!』
『じゃ…、その指にハマッてるのはナニ?』
『ナニ…って…。ぎゃあぁーーっ、いつの間にハメやがったっっ!!!
 このヘンタイ宇宙人っ!!!』
『お前がカレー食って、意識飛ばした瞬間』

『のぉおぉぉぉーーーーっ!!!!』

左手の薬指にハメられて、いくら抜こうとしてもぎっちりハマって、
なかなか抜けなかった、悪夢のバレンタインデー…っ。
思い出しただけで、ちょっち涙出てきちまったじゃねぇかっっ。
うううう…、これ以上は思い出したくねぇっっ。
封印だっ、封印っ!!!!
けど、いくら記憶を封印しても、目の前のホワイトシチューはなくならないっ。
食べないって手もあるけど、ソレだとホワイトデー意識してるみたいで、
なんのかんのと後で突っ込まれそうで、逆にコワイっ。
ホワイトデーとか、何も用意なんかしてるワケねぇしっっ。
うー…、マジでどうしよっ、とりあえず一口だけ食って逃げるか?
チョコは入ってねぇって言ってたし、もしかしたら、ホントにシチューかもしんないしっ。
作ったのが主食のカレーじゃないってのはアヤシイしっ、
今日もフリルのエプロン着てるのも…、確かにアヤシイけど…、
くそぉっっ、いつまでも迷ってても埒が明かねぇっ!

ココはとりあえず、男らしく一口だけっ!

そう思って俺は一口、ホワイトシチューを口に含んだ。
だが・・・、口の中に入れた瞬間、全身に衝撃が走り、
俺の手からスプーンがカランカランと大きな音を立てて落ちる。
すると、そんな俺を見た久保田が口元に笑みを浮かべた。

「ハッピー、ホワイトデー」

久保田の口から、まるで呪いのような言葉が出た瞬間っ、
俺は目をカッッと見開き、グエッとうめくっっ。
そして、強烈に何かが込みあげてきた胸を抑えながら、
なんとかソレを根性で飲み込みつつ、心の中で絶叫したっっ。


かっらぁぁい…っっっ! からーいっ、かっらぁぁぁいぃぃっ!!!


なっ、なんだっっ、このカレー味のシチューじゃなくってっ!
姿かたちはシチューしてる、ホワイトなカレーは…っ!!!!!!!!
しかもっ、白いクセに凄まじい辛さが全身を駆け抜けっ、
一口だけなのにっ、胃を灼熱地獄へと誘ってやがるっっ!!!
これぞ、まさに究極の宇宙人カレーっ!!!!
食ったら何か一瞬・・・・、あの世とか見えた…、し?
…って、あ、あれ??なんかマジでカラダが…っっ!!
俺はシチューに擬態したカレーに眩暈を感じて崩れ落ちる。
すると、そんな俺を見た久保田は、何かに関心したようにうんうんとうなづいた。

「朝、知ったんだけど、今日はホワイトデーっていう日で、白いモノを食べる日らしいよ。
ホント、地球って素敵ダヨネv」
「し、白いモノ…」
「白いモノ」
「・・・・・・・・・」


ぎゃあぁぁ----…っ!!!!何かものすんごく嫌な予感するっ!!!
だ、誰かコイツの今度こそ、ぜぇぇったいにっっ、
間違ってる知識と暴走を止めてくれぇぇぇっ!!!
つか、誰かホワイトカレーと共に宇宙へ送り返せっ!!
今っ、すぐに…っっっ!!!!

「うわぁぁぁんっ、ホワイトデーなんか死んじまえっ!!!!」


来年も再来年も、再々来年もホワイトデーなんかするもんかっ!!!
バレンタインもっ、ホワイトデーも…っ!
だいっ嫌いだぁぁぁぁっ!!!!!!

------------------------------------------------------------------------------------------------

すいませんっ、すいません…っ、ひたすらすいませんですっっm(。_。;))m ペコペコ…
ちなみに時任が食べたのは、辛いだけの普通のホワイトカレーですv

 


 

そう…、俺は知っていた。

今日が一体、何の日かというコトを…、
しかも、その日が訪れる前から知っていた。
ベツに知りたいワケじゃねぇけど、バイトをしているとイヤでも目に入るしっ、
ていうかっ、知らないってあり得なくね?…なカンジだ。
もしも、知らなかったら・・・、ココだけの話、マジで宇宙人かも?
なんて、ふと思ったりもしたが、しかし! 
バイトが終わって帰る頃になると、俺は完全に忘れていた。
完全に忘れ去ろうとしていたっ。
ソコはそれ…、つまり男の哀しい事情ってヤツだ。
ちくしょおぉぉっ!!!

べ…、ベツにあんなモンっ、欲しくなんかないんだからなっ!

ココロん中で、そう呟きながら…っ、
ちょこっとだけ、ほんのちょこっとだけっ、今日という日を恨みたくなる。
ついでに俺に何個もらった?…とか、ぜったい5個以上はもらってるよね?
…とか、言いやがったヤツとかっ!!!!
ぐあぁぁぁぁっ、今、思い出してもムカつく!!!
俺サマは本命以外、受け取らねぇ主義だっつーのっ!!
なんてムカつきとともにっ、俺は今日という日を忘れ去り捨てたっ!

ら、来年に期待しとこ…、ちょっとだけ。

そして、いつものように住んでるアパートではなく、マンションに帰宅。
前のアパートと違って、今のマンションの部屋は広くてキレイ…なんだけど!
玄関のドアを開けた瞬間にするのは、加齢臭っっ!!!!
じゃなくてっ、カレー臭ぅぅぅっ!!!!
しかも、その匂いの元は、白いエプロンのオカン…とかじゃなくて、

・・・・・・・白いエプロンの宇宙人だったっっ!!!!

ちくしょうっっ!!!妄想の中だけでも彼女にしとけよっ、俺!!!!
なんて、ココロの中でそんなセルフツッコミを俺がしてると、
おもいっっきりっ、白いエプロンの似合わないカレー星人っ、
もとい久保田がオタマを片手に、俺におかえりを言った。
そして、主食であるカレーを皿につぎ、いつものように食卓に置く。
そんな久保田の様子を見ながら、なんでコートの上にエプロンなんだっとかっ、
なんでエプロンがフリルなんだっっとか、ツッコミたいコトは山のようにあったが、
バイト帰りで凄まじく腹が減ってた俺は、とりあえず手を洗って着替えてから、
久保田の宇宙人カレーを食べるコトにした。
だが・・・、食卓に着き、空腹にまかせてカレーを口の中に掻き込んだ瞬間、
全身に衝撃が走り、俺の手からスプーンがカランカランと大きな音を立てて落ちる。
すると、そんな俺を見た久保田が口元に笑みを浮かべた。

「ハッピー、バレンタイン」

久保田の口から、まるで呪いのような言葉が出た瞬間っ、
俺は目をカッッと見開き、グエッとうめくっっ。
そして、強烈に何かが込みあげてきた胸を抑えながら、
なんとかソレを根性で飲み込みつつ、心の中で絶叫したっっ。


あっまぁーい…っっっ! あまーいっ、あっまぁぁぁいぃぃっ!!!


なっ、なんだっっ、このカレー味のチョコレートじゃなくってっ!
チョコレート味のカレーは…っ!!!!!!!!
しかもっ、甘さと辛さの絶妙な比率が、未知のハーモニーを奏でてやがるっ!!!
これぞ、まさに究極の宇宙人カレーっ!!!!
食ったら何か一瞬・・・・、あの世とか見えた…、し?
…って、あ、あれ??なんかマジでカラダが…っっ!!
カレーにチョコを盛られた俺は、眩暈を感じて崩れ落ちる。
すると、そんな俺を見た久保田は、何かに関心したようにうんうんとうなづいた。

「朝、知ったんだけど、今日はバレンタインっていう日で、チョコを食べて
エッチをする日らしいよ? ホント、地球って素敵ダヨネv」


ぎゃあぁぁ----…っ!!!!
だ、誰かコイツの合ってんのか間違ってんのかっ、
なんか微妙な思い込みと暴走を止めてくれぇぇぇっ!!!
つか、誰かチョコカレーと共に宇宙へ送り返せっ!!
今っ、すぐに…っっっ!!!!

「ちなみに、カレーは四日分あるから」
「・・・その発言に込められた意味を、10字以内で述べよ」
「うーん、四日バレンタイン?」

「うわぁぁぁんっ、バレンタインなんか死んじまえっ!!!!」


来年も再来年も、再々来年もチョコなんかいるもんかっ!!!
バレンタインなんかっ、バレンタインなんか…っ!
だいっ嫌いだぁぁぁぁっ!!!!!!


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じ、実は書いてる途中で、没にしてたものなのですが…、
最後まで書いて、置いてしまいました…(ーー;)



俺の名前は、時任稔。
ただいま、思いっきり不本意ながら、宇宙人久保田と同居中っ!!
しかも、住んでたアパートは、久保田のせいで床が抜け、
大家さんにあらぬ誤解をされちまった上にっ、
更に不本意なコトに、久保田の用意した新居に引っ越しすることになったっ!
大家さんには、生ぬるい笑顔でお幸せにとか言われちまったけどっ、
引っ越すのはあくまでただの新居であって、愛の巣とかじゃないっ!
それだけは、断固否定するっ!!
だが、そんな俺の心の叫びを知ってか知らずが、久保田はのほほんとした様子で、
歩いている内に見えてきたマンションを指差した。

「あ、ほら、アレが俺らの愛の巣」
「愛の巣ちがぁぁうっ! つーか、アレって普通のマンションだろ」
「うん、まぁ、フツーなのはフツーだけど、時々・・・・・」
「と、時々??」
「俺らが住むのは、ココの401号室だから」
「…って、自分で言っといてスルーすんなよっ、今の時々って一体何だっ!?」
「部屋番号はよおいって、ちょっと一字違いなカンジで、
 テキトーに覚えてくれればいいから」
「テキトーでよおいって、ものすんげぇ覚えづらいじゃんってかっ、
 い、一字違いって何のっっ!?」
「・・・・・・・・・じゃ、行こうか」

「うわぁぁぁ…っ、時々って何だよっ、一字違いって何の一字違いだよっ!
 誰か教えてくれぇぇぇっ!!!」

一見、フツーに見えるけど、このマンションはなんかヤバイっ!!
何かが時々で、何かが一字違いだしっ!!
けど、どんなに踏ん張っても、宇宙人の馬鹿力にズルズル引きずられちまって、
俺は宇宙人のっ、しかもエロい宇宙人の巣に連れ込まれちまった!!!
し、しかも表札には、すでに久保田の文字がっ!!!

「このマンションって駅から近いし、襲撃されても寝室の窓から脱出可能だし、
 ホント、立地条件最高なんだよね」
「だ、脱出?」
「とりあえず、一番奥にあるリビングに行っといてくれる? 
 俺はちょっち管理人さんにアイサツしてくるから」
「お、おいっ、ちょ…っ!」

・・・・・パタンっ。

管理人さんにアイサツって・・・・、何かものすんげぇイヤな予感する。
けど、付いて行ったら行ったで、ものすんげぇ目に遭いそうな気もするっ。
だあぁぁぁっ、もうっ、一体どーすりゃいいんだっ!!
玄関で五分くらい苦悩したけど、こんなトコで苦悩してても仕方ない。
はぁ~~っと盛大にため息をついた俺は、何かが時々で、
何かが一字違いなマンションの部屋に足を踏み入れるっ。
そうして、言われた通りに一番奥のドアを開けて…、
リビングへと入ろうとしたんだけど・・・・・・、

「やあ」

ぎゃあぁぁぁっ、ソファーになんか居たぁぁぁっ!!!!
けど、そう思った次の瞬間、もの凄い音が響いて、
リビングに居た黒いのは、キラリと夜空じゃなくて、
ま、真昼の星にぃぃ…っ!!!

「うーん、今は昼だけど、星が綺麗だねぇ」
「って、お前いつの間にってかっ!今のは一体!?」
「あー、アレはゴキブリ」
「ご、ごき…って、どう見ても黒いスーツを着た男…っ!!」
「さっきは中華鍋で退治したけど、今度はスリッパにしよっかな」
「つか、今、手にもってんのってホントに中華鍋なのか!?
 なんか形状が拳銃…っ!」
「ちなみに、コレで八宝菜も作れるヨ」

「へー、それで八宝菜が…って、そんなの信じるかぁぁぁぁっ!!!」

引っ越し初日。
なんかゴキブリみたいなの?出るしっ、窓ガラス割れてるしっ!!
マジでものすんごく、サイアクだぁぁぁぁっ!!!
しかも、あまりの状況に頭を抱えてる俺に向かって、
中華鍋を右手に持ちつつ、左手で俺にセクハラしつつ、
エロ宇宙人は満足そうにうん…と、うなづきつつ微笑んだ。

「ココなら床抜けないから、激しくても大丈夫だぁね。
 実は立地もあるけど、ココらヘンで一番床が丈夫なマンションだったり」
「そんな理由で、床の強度を調べんなっ!!このヘンタイっ!!」
「色々と頑張って、幸せになろうね?」
「幸せってか、その前に色々って何だっ、何を色々頑張んだっ!?」
「知りたい? そんなに知りたいなら、今すぐ教えてあげるけど?」
「い、いや…、やっぱいいっ」
「俺らは夫婦なんだから、遠慮しなくていいから…ね?」
「遠慮なんかしてねぇしっ!」
「優しくするから」

「ぎゃあぁぁっ、来るなぁぁぁ!!!!」

床をぶち抜く勢いで、色々と頑張ろうとするエロ宇宙人と俺っ!
401号室で勃発した地球初の宇宙人対人類の戦い!
そしてっ、その戦いの行方と、丈夫な床は壊れなくてもベッドは?!
…という純粋な謎!
そんなすべての行方がわかるのは、いつのコトになるのか、
今の俺にはさっぱりわからなかったっ!

つか、わかってたまるかぁぁっ!!!!

                                                       つづく?
俺んちっていうか、俺の住んでるアパートは築40年のオンボロで、
けど、ベランダが広いのが、唯一の良いトコロ…だったはずだったっ。
不動産屋まわって決める時、安いのとベランダとで決めたようなモンだったしっ。
だがっ、それはついこの間までのコトで、今は違うっ!
ベランダが広かったせいで、ストーカー宇宙人の着陸ポイントになっちまった!!
つーか、普通ベランダに着陸するかっ!?
着陸するなら空港かNASAにしろっ!!!
 
「うー…、マジでどーすんだっ、俺っ」
 
バイトから帰ってきて、当たり前みたいにタダイマって言ってるしっ、
久保田特製の宇宙人カレー…つか、フツーのカレーなんだけど…を
ナチュラルに一緒に食っちまってるしっ、
も、もしかして…、俺って思いっきり馴染んじまってねぇか!?
ソレってなんかヤバくね?
 
「あー、でも…、ただ単に同居してるだけだし、今んトコはそれほど問題ねぇか…」
 
いや、大アリだろっっ、俺―っ!!とか、ココロの中で突っ込みつつ、
瞼を閉じたのは眠いからで、ちなみに今の俺はベッドの毛布の中にいる。
ストーカーとか宇宙人とか、明日のバイトとか考えなきゃなんないコトはあるけど、
ふぁあ~…、寝よ。
・・・・・・と思った、がっ!!
眠りについて数分で、俺はある異変に気づき、目をぱっちりと開いた。
そしたら、俺をじーっと見てる目と至近距離で目が合っ…!!!
 
 
ぎゃあぁあーーっ、マジでちゅーする五秒前ぇぇっ!!!!
 
 
おまけにっ、いつの間にか毛布にだけ包まれてるはずの俺様がっ、
毛布以外のぬくもりに包まれてるっ、思いっきり包まれてるっ!!!
・・・・・あぁ、あったかくて気持ちイイ。
とか、思うワケねぇだろーっ!!!!
 
「なっ、なんでっ、てめぇがココにっ!!!!」
「ん~? ふつつかモノですが、ヨロシクお願いします?」
「…って、何がふつつかでお願いなんだよっ!!」
「何がって、地球人夫婦の夜のアイサツだけど? ちなみに学習教材は、
奥様はジョシコーセー」
「何が学習教材だっ、ソレって思いっきりエロビデオだろっ!!!」
「さぁ?」
「とか言いつつ、妙なトコ触ってんじゃねぇっ!!!」
 
 
ばきいぃぃぃーー…っ!!!!!
 
 
ヘンタイ宇宙人に向かって、俺は拳を振り上げてっ、
ばきぃぃぃって、やったはずだったっっ。
そうしなきゃ、俺の貞操は確実に奪われていたっ!
けど、オンボロアパートに鳴り響いた凄まじい音は…、
実は久保田を殴った音じゃなくて…、
 
 
・・・二人分の重さに耐えきれなくなった床が抜けた音だった。
 
 
しかも、今度は下の階に住んでた大家さんと目が合うっ。
すると、大家さんは上から、ベッドごと落ちてきた俺と久保田を
じーーーーっと見て、ポンっと俺の肩を叩いた。
 
「ヤるのは良いけど、床が抜けるくらい激しいのは…、ちょっとねぇ」
「ぎゃあぁぁーっ、やってねぇっ、ぜんっぜん何もやってねぇっ!
こいつはただのストーカー宇宙人でっ、そういう関係じゃねぇしっ!!」
「妻デス」
「…って、俺の隣でワケのわかんねぇ紹介すんなっ、指差すなぁぁっ!!」
 
そんな感じで、結局、俺はオンポロアパートを出るハメになった。
俺らも大家さんも運良く怪我はなかったし、
床はボロくなってたって事で、修理費はまぬがけたけど…、
うわぁぁぁっ、ウソだっっ、誰がウソだと言ってくれぇぇっ!!
そして、少ない荷物を手にアパートを出た俺の肩を、
今度は元凶である久保田がポンっと叩いた。
 
「そんじゃ、これから二人の門出ってコトで、新居に行きますか」
「はぁ? 新居?」
「新婚だから愛の巣って言った方が、わかりやすい?」
「だっ、誰が新婚だっっ、このエロ宇宙人っ!!!」
 
オンボロアパートを出たら、金もない保証人のいない俺には、
新しい住処を探すのは難しい。
だから、とてつもなく不安を感じながらも、仕方なくっっ、
久保田と一緒に新居に向かった。
 
 
あぁっ、マジでどうなっちまうんだっ、俺の人生っ!!!
 
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