そう…、俺は知っていた。
今日が一体、何の日かというコトを…、
しかも、その日が訪れる前から知っていた。
ベツに知りたいワケじゃねぇけど、バイトをしているとイヤでも目に入るしっ、
ていうかっ、知らないってあり得なくね?…なカンジだ。
もしも、知らなかったら・・・、ココだけの話、マジで宇宙人かも?
なんて、ふと思ったりもしたが、しかし!
バイトが終わって帰る頃になると、俺は完全に忘れていた。
完全に忘れ去ろうとしていたっ。
ソコはそれ…、つまり男の哀しい事情ってヤツだ。
ちくしょおぉぉっ!!!
べ…、ベツにあんなモンっ、欲しくなんかないんだからなっ!
ココロん中で、そう呟きながら…っ、
ちょこっとだけ、ほんのちょこっとだけっ、今日という日を恨みたくなる。
ついでに俺に何個もらった?…とか、ぜったい5個以上はもらってるよね?
…とか、言いやがったヤツとかっ!!!!
ぐあぁぁぁぁっ、今、思い出してもムカつく!!!
俺サマは本命以外、受け取らねぇ主義だっつーのっ!!
なんてムカつきとともにっ、俺は今日という日を忘れ去り捨てたっ!
ら、来年に期待しとこ…、ちょっとだけ。
そして、いつものように住んでるアパートではなく、マンションに帰宅。
前のアパートと違って、今のマンションの部屋は広くてキレイ…なんだけど!
玄関のドアを開けた瞬間にするのは、加齢臭っっ!!!!
じゃなくてっ、カレー臭ぅぅぅっ!!!!
しかも、その匂いの元は、白いエプロンのオカン…とかじゃなくて、
・・・・・・・白いエプロンの宇宙人だったっっ!!!!
ちくしょうっっ!!!妄想の中だけでも彼女にしとけよっ、俺!!!!
なんて、ココロの中でそんなセルフツッコミを俺がしてると、
おもいっっきりっ、白いエプロンの似合わないカレー星人っ、
もとい久保田がオタマを片手に、俺におかえりを言った。
そして、主食であるカレーを皿につぎ、いつものように食卓に置く。
そんな久保田の様子を見ながら、なんでコートの上にエプロンなんだっとかっ、
なんでエプロンがフリルなんだっっとか、ツッコミたいコトは山のようにあったが、
バイト帰りで凄まじく腹が減ってた俺は、とりあえず手を洗って着替えてから、
久保田の宇宙人カレーを食べるコトにした。
だが・・・、食卓に着き、空腹にまかせてカレーを口の中に掻き込んだ瞬間、
全身に衝撃が走り、俺の手からスプーンがカランカランと大きな音を立てて落ちる。
すると、そんな俺を見た久保田が口元に笑みを浮かべた。
「ハッピー、バレンタイン」
久保田の口から、まるで呪いのような言葉が出た瞬間っ、
俺は目をカッッと見開き、グエッとうめくっっ。
そして、強烈に何かが込みあげてきた胸を抑えながら、
なんとかソレを根性で飲み込みつつ、心の中で絶叫したっっ。
あっまぁーい…っっっ! あまーいっ、あっまぁぁぁいぃぃっ!!!
なっ、なんだっっ、このカレー味のチョコレートじゃなくってっ!
チョコレート味のカレーは…っ!!!!!!!!
しかもっ、甘さと辛さの絶妙な比率が、未知のハーモニーを奏でてやがるっ!!!
これぞ、まさに究極の宇宙人カレーっ!!!!
食ったら何か一瞬・・・・、あの世とか見えた…、し?
…って、あ、あれ??なんかマジでカラダが…っっ!!
カレーにチョコを盛られた俺は、眩暈を感じて崩れ落ちる。
すると、そんな俺を見た久保田は、何かに関心したようにうんうんとうなづいた。
「朝、知ったんだけど、今日はバレンタインっていう日で、チョコを食べて
エッチをする日らしいよ? ホント、地球って素敵ダヨネv」
ぎゃあぁぁ----…っ!!!!
だ、誰かコイツの合ってんのか間違ってんのかっ、
なんか微妙な思い込みと暴走を止めてくれぇぇぇっ!!!
つか、誰かチョコカレーと共に宇宙へ送り返せっ!!
今っ、すぐに…っっっ!!!!
「ちなみに、カレーは四日分あるから」
「・・・その発言に込められた意味を、10字以内で述べよ」
「うーん、四日バレンタイン?」
「うわぁぁぁんっ、バレンタインなんか死んじまえっ!!!!」
来年も再来年も、再々来年もチョコなんかいるもんかっ!!!
バレンタインなんかっ、バレンタインなんか…っ!
だいっ嫌いだぁぁぁぁっ!!!!!!
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じ、実は書いてる途中で、没にしてたものなのですが…、
最後まで書いて、置いてしまいました…(ーー;)