俺の名前は、時任稔。
ただいま、思いっきり不本意ながら、宇宙人久保田と同居中っ!!
しかも、住んでたアパートは、久保田のせいで床が抜け、
大家さんにあらぬ誤解をされちまった上にっ、
更に不本意なコトに、久保田の用意した新居に引っ越しすることになったっ!
大家さんには、生ぬるい笑顔でお幸せにとか言われちまったけどっ、
引っ越すのはあくまでただの新居であって、愛の巣とかじゃないっ!
それだけは、断固否定するっ!!
だが、そんな俺の心の叫びを知ってか知らずが、久保田はのほほんとした様子で、
歩いている内に見えてきたマンションを指差した。
「あ、ほら、アレが俺らの愛の巣」
「愛の巣ちがぁぁうっ! つーか、アレって普通のマンションだろ」
「うん、まぁ、フツーなのはフツーだけど、時々・・・・・」
「と、時々??」
「俺らが住むのは、ココの401号室だから」
「…って、自分で言っといてスルーすんなよっ、今の時々って一体何だっ!?」
「部屋番号はよおいって、ちょっと一字違いなカンジで、
テキトーに覚えてくれればいいから」
「テキトーでよおいって、ものすんげぇ覚えづらいじゃんってかっ、
い、一字違いって何のっっ!?」
「・・・・・・・・・じゃ、行こうか」
「うわぁぁぁ…っ、時々って何だよっ、一字違いって何の一字違いだよっ!
誰か教えてくれぇぇぇっ!!!」
一見、フツーに見えるけど、このマンションはなんかヤバイっ!!
何かが時々で、何かが一字違いだしっ!!
けど、どんなに踏ん張っても、宇宙人の馬鹿力にズルズル引きずられちまって、
俺は宇宙人のっ、しかもエロい宇宙人の巣に連れ込まれちまった!!!
し、しかも表札には、すでに久保田の文字がっ!!!
「このマンションって駅から近いし、襲撃されても寝室の窓から脱出可能だし、
ホント、立地条件最高なんだよね」
「だ、脱出?」
「とりあえず、一番奥にあるリビングに行っといてくれる?
俺はちょっち管理人さんにアイサツしてくるから」
「お、おいっ、ちょ…っ!」
・・・・・パタンっ。
管理人さんにアイサツって・・・・、何かものすんげぇイヤな予感する。
けど、付いて行ったら行ったで、ものすんげぇ目に遭いそうな気もするっ。
だあぁぁぁっ、もうっ、一体どーすりゃいいんだっ!!
玄関で五分くらい苦悩したけど、こんなトコで苦悩してても仕方ない。
はぁ~~っと盛大にため息をついた俺は、何かが時々で、
何かが一字違いなマンションの部屋に足を踏み入れるっ。
そうして、言われた通りに一番奥のドアを開けて…、
リビングへと入ろうとしたんだけど・・・・・・、
「やあ」
ぎゃあぁぁぁっ、ソファーになんか居たぁぁぁっ!!!!
けど、そう思った次の瞬間、もの凄い音が響いて、
リビングに居た黒いのは、キラリと夜空じゃなくて、
ま、真昼の星にぃぃ…っ!!!
「うーん、今は昼だけど、星が綺麗だねぇ」
「って、お前いつの間にってかっ!今のは一体!?」
「あー、アレはゴキブリ」
「ご、ごき…って、どう見ても黒いスーツを着た男…っ!!」
「さっきは中華鍋で退治したけど、今度はスリッパにしよっかな」
「つか、今、手にもってんのってホントに中華鍋なのか!?
なんか形状が拳銃…っ!」
「ちなみに、コレで八宝菜も作れるヨ」
「へー、それで八宝菜が…って、そんなの信じるかぁぁぁぁっ!!!」
引っ越し初日。
なんかゴキブリみたいなの?出るしっ、窓ガラス割れてるしっ!!
マジでものすんごく、サイアクだぁぁぁぁっ!!!
しかも、あまりの状況に頭を抱えてる俺に向かって、
中華鍋を右手に持ちつつ、左手で俺にセクハラしつつ、
エロ宇宙人は満足そうにうん…と、うなづきつつ微笑んだ。
「ココなら床抜けないから、激しくても大丈夫だぁね。
実は立地もあるけど、ココらヘンで一番床が丈夫なマンションだったり」
「そんな理由で、床の強度を調べんなっ!!このヘンタイっ!!」
「色々と頑張って、幸せになろうね?」
「幸せってか、その前に色々って何だっ、何を色々頑張んだっ!?」
「知りたい? そんなに知りたいなら、今すぐ教えてあげるけど?」
「い、いや…、やっぱいいっ」
「俺らは夫婦なんだから、遠慮しなくていいから…ね?」
「遠慮なんかしてねぇしっ!」
「優しくするから」
「ぎゃあぁぁっ、来るなぁぁぁ!!!!」
床をぶち抜く勢いで、色々と頑張ろうとするエロ宇宙人と俺っ!
401号室で勃発した地球初の宇宙人対人類の戦い!
そしてっ、その戦いの行方と、丈夫な床は壊れなくてもベッドは?!
…という純粋な謎!
そんなすべての行方がわかるのは、いつのコトになるのか、
今の俺にはさっぱりわからなかったっ!
つか、わかってたまるかぁぁっ!!!!
つづく?