プロポーズっていうのは、初対面の相手にするもんじゃねぇと思う。
…っていうか、フツーしねぇだろっ!?
まずは告白して、オッケーなら付き合うとか、
わかんなかったら、まずはお友達からとかさ。
そ、そーいう経験…あんまねぇから、わかんねぇけどっ、
とりあえずっ、そういうモンだろっ!!!
いきなり子供産んでくれとかって、あり得ねぇっていうかっ!
・・・・・・アイツの存在自体があり得ねぇっ!!!!
あの後、ベランダの窓をぴしゃりと閉めて鍵かけたはずなのに、
次の日の朝、食パンが食べごろに焼ける頃にはリビングのソファーで、
アイツが思いっきりくつろぎながら、新聞なんぞ読んでやがったあぁっ!
「ん~、今日も地球は事件がいっぱいだぁね」
「…って、さりげなく宇宙人っぽい言動のようで、新聞読める時点で、
思いっきりっっ、地球人だろ!」
「今の時代、宇宙人だって地球語しゃべれないと、ね?」
「なにが、ね?っだよっ! つか、早く宇宙へ帰れっっ」
「えー…、だって俺ら夫婦だし? 妻を置いて帰れないっしょ?」
「だっ、だっ、だ…っっ」
「だだだ?…って、ソレ何語?」
「日本語だぁぁぁっ!!って言う前に、誰が妻だっっ、このヘンタイっ!!」
ヘンタイエロ星人、久保田は思いっきり地球の日本語をしゃべってる…がっ、
・・・・・・・言葉が通じねぇぇぇっ!!!!
ソレってやっぱ宇宙人だからなのか? そうなのかっ!??
プロポーズから、24時間も経たない内に、アイツの脳内で俺らは夫婦になったらしいっ。
そんでもって俺が、つ、妻ってっ!!!
ま、まさかマジで子供を産ませる気でいんのかっ!??
「・・・・・・・・・あのさ、ちょっち聞くけど」
「うん?」
「なんで、俺?」
「なんでって、何が?」
「だーかーらっ、地球にはいーっぱいヒトが住んでんだろ。
なのに、何でよりにもよって男な上に、俺なんだよっ」
「ん~、だって、ずっと見てたから」
「み、見てたっていつっ、どこからっ!?」
「お前が生まれた時から」
「俺が生まれた時から」
「百億光年彼方まで見える自空間望遠鏡で…」
「・・・・・・・・・」
宇宙規模ストーカーっっ、ばんざーいっ!!!!!
うわぁ…っ、もう感動のあまり涙出そう…っ。
コレで俺のアルバムとか見せられた日には、マジ泣きするっっ!!
けど、それはさすがに無いみたいで、俺がホッと胸を撫で下ろしてると、
俺様の朝メシがっっ、俺のこんがり食パンが・・・・、ひんやり冷めてたっっ。
「うん、食パンは冷めちゃったけど、俺らの愛は永遠に冷めないから…、ちゅっ」
「うぎゃあぁぁぁっ、宇宙人にキスされたぁぁぁっ!!」
「そんなに叫ばなくても、キスじゃ子供はできないし」
「そういう問題じゃねぇぇぇっ!!!!」
その時は、誰も俺自身でさえも予想してなかったっ。
この部屋に宇宙人の居る日々が、当たり前になっちまうなんてっ!!
だけど、そんなこんなで追い出しそびれて、日が過ぎてっっ、
今日も宇宙人久保田は…、俺の目の前で主食らしいカレーを作ってる…。
ったくっ、宇宙人のクセに主食がカレーって…とか言うよりっ!
もしかして、俺サマ大ピンチっ!!??
俺がそう思ったのは不覚にも、ベッドに自分以外のぬくもりを感じてからだったっ!!
ぎゃあぁぁぁぁ…っ!!!!!
つづく?ベランダというのは、俺にとって洗濯モノを干す場所だっ。
たまに景色を眺めたりもすっけど、基本的に!
まかり間違っても、ココは宇宙人と交信したりっ、
宇宙人と遭遇したりっ、そんなコトをする場所じゃないっ!!
常識的に…っていうか、ありえねぇぇっ!!
だけど、俺が洗濯モノを干していると、空から何かが降ってきて、
しかも、それはなぜか、俺に向かってプロポーズをしたってのは、
ヤツの言い分でっ!
俺に言わせるとっ、ヘンタイ宣言しやがったぁぁっ!
「ねぇ…、俺の子供産んでくんない? ちなみに俺って、宇宙人だけどさ」
「・・・・・・」
「アレ? もしかして、いきなりのプロポーズに驚いて声も出ないとか?
あ、そういえば名前言ってなかったけど、俺の名前は久保田誠人」
「・・・・・・・お」
「お?」
「俺は男だァァァッ!!!!っていうか、今すぐっ、速攻宇宙へ帰れッ!!!!
このヘンタイ宇宙人っ!!!」
「宇宙人ってトコは、認めてくれるんだ?」
「誰が認めるかっ!!名前が思いっきりっ、地球人だろっ!!!」
「あー…、宇宙人って言っても、環境も文化も地球とそっくりだからねぇ。
それに、俺の星にもにっぽんアルヨ?」
「うっわっ、胡散くせぇぇぇ!っていうかっ、どさくさに紛れて尻触んなっ!
ヘンタイエロ星人ッ!!!!」
俺サマ命名、ヘンタイエロ星人久保田は、見かけは男で思いっきり日本人。
年齢は25歳くらい? 着てんのは黒のロングコートと中に白いシャツ、
そんでもってコートと同じ色のズボン。
どっから、どー見ても宇宙人には見えないっ!
空から降ってきたトコ以外はっ!
「うん…、コレなら大丈夫だぁね」
「って、何がっ!?」
「俺の子供を産め…」
「まだ言うかっっ、このドヘンタイッ!!!!」
ばきぃぃぃ…っ!!
前言撤回っっ!!!
男の俺に子供を産ませようとしてるコイツはっ、
紛れもなく宇宙人だっっ、絶対宇宙人だ…っっっ!
誰かコイツに、地球の常識を教えてやってくれっ!
もしくはっ、大気圏外にぶっ飛ばしてやってくれっっ!
だけど、そう思いつつ俺はなぜか、この日から宇宙人と暮らすことになるっ。
このっ、ヘンタイエロ星人と!!
な、なぜだぁぁぁ…っっ!!
つづく?